■違国日記(1~6巻)
■ヤマシタトモコ
■フィールコミックス(祥伝社)
既刊6巻(連載中)
こちらも新刊が出ましたね。
女王様は相変わらず、子犬は冒険に出られる・・・のかな?
大雑把なあらすじです。
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高校1年生の朝(あさ)は交通事故で両親を亡くしてしまう。
葬式で朝を誰が引き取るか・・・でたらいまわし状態になりかけているところを
朝の母の妹(つまり叔母)である槙生(まきお・少女小説家)が見かねて、
勢いで引き取ることにする。
2人の生活を始めるが、
槙生は人見知りだし、どちらかというとダメ人間に分類されるような生活。
また朝の母親である姉の実里との関係は良くなかったようで
朝の望むことを十分に与えらないが、槙生なりに朝を大切にしている。
一方の朝は槙生になついてはいるけれど
思春期特有のわがまま+両親を亡くしたことによる心のアンバランスさもあってか
行き場のないさみしさを槙生にぶつけるが
槙生は「応えてあげられない」という・・・
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正直、読むのにちょっと疲れる作品です。
小説、文学を読んでいるときのような、そんな感じになります。
その代わり、すごく面白いです。
作者のヤマシタトモコ先生の、他の作品も読んだことがあるんですが
感情というか、心の機微を表現するのがものすごくうまい方です。
普段見落としがちな感情も
きれいに掬い上げて、丁寧に作品に落とし込まれています。
だから、疲れる。
でも、面白い。
この「違国日記」も、
叔母と姪という関係とはいえ、
全く違う人間である朝と槙生という、それぞれの「個」が
どう自立して、どう交わるのか、
という話であるように思います。
すごく繊細な話なので、この作者さんだからこそ表現できている、
という作品になっているのでは・・?と思わずにはいられません。
槙生は、朝を引き取って暮らすことに決めたけれど
あなたの寂しさをどうにかしてあげることはできない、と朝に言い
朝は槙生にアドバイスされたことを考え・実行しながら
自分なりに自分と向き合おうとします。
当然うまくいかないのですが、それでも槙生は「考えろ」と朝に言います。
さながら、頑張っている子犬を見守っている女王のよう。
5巻でやっと、朝は両親が死んだことに対して叫びをあげます。
そこからの今回の6巻だったのですが
両親がなくても日常はそこに存在していて、
部活や友達、進路・・・と容赦なく朝に降りかかってきます
そのすべてに答えが出せるわけじゃない自分に
苛立ちを覚える朝ですが、
わたしはわたしの孤独に水をやるべきだろうか?
そうすれば見つかるだろうか
何かわたしのさがすべきものが
と考えます。
これ、ものすごく印象的な文章でした・・・
朝は自分の中の孤独を見つけたのでしょうね。
自分は不幸かもしれないけど
幸せじゃないこともない。
槙生もいるし、友達もいる。
だけど、孤独だ、と。
まだまだ子犬の冒険は続きそうです。
ついでに女王さまの苦悩も続きそうです・・・。
また最初から読み直して
2人の心の動きを振り返らなければ・・・と思っています。